2016年12月20日火曜日

照沼重輝の中国彷徨記(紹興酒)・・・20

2016.12.20火 快晴 午前6:44
 義鳥から杭州方面に戻ったが、道筋は蕭山から銭塘江の大橋を渡り時点で真っ直ぐ
行けば杭州市の町に入るのだが、南に反れて紹興市に向かった。紹興は作家魯迅や
政治家周恩来の故郷でもある。私は魯迅の阿Q伝に出てくる居酒屋に行きたかったので
ある。この居酒屋はビールでも紹興酒でも茶碗でしか飲めない居酒屋である。つまり、
コップを使わない居酒屋で有名である。それと蔵出しされた紹興酒と水ピーナッツは
阿Q伝にも出てくるので、中国人の観光客でいつも一杯である。チッケトで臭豆腐と
ビールと水ピーナツを買い、席に着いた。食堂のおばちゃんタイプの女性が、無言で
チケットをもぎり、茶椀を置いていった。間を置くまでもなく、注文したものが運ばれてきた。
強烈な匂いの臭豆腐、お椀に入った水ピーナツ、地ビール瓶、紹興酒は最初から茶椀に
入っている。ビールで乾杯をしたが、そそくさに醤油色の紹興酒を私は口に運んだ。
芳醇な香りをもつ紹興酒は滑らかに口に入っていった。右手で臭豆腐を口に入れ、
左手で水ピーナツをさぐり、現地の味を一刻でも早く味わうとする姿勢で食し飲んだ。
紹興酒はほどなく体にしみわたり、私の目は和んできた。そうすると、紹興酒の力を
借りて、魯迅の人物伝を私の口から発し始めたくなるのである。何故魯迅に関し、
興味があるのかなと言えば、中国に行き初めの頃に中国関連書籍を雑読みしたが、
その中で魯迅の日本への留学記の中で茨城の水戸市が書かれていたからである。
魯迅は仙台医学専門学校に留学をした。仙台に向かう途中で、夜半に水戸市という
町を通過したと出てくるのである。魯迅は旅費のためか、時間のためか夜汽車で仙台に
向かったのである。私の魯迅に対する思いは夜汽車と水戸駅通過にある。それと、
臥薪嘗胆の山が紹興にあることも付け加えたいのである。
             アメリカ・中国大陸馬賊隊・・・照沼重輝

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