2016年7月11日月曜日

照沼重輝のアメリカ彷徨記(実家)・・・31

2016.7.12火 曇天 午前6:47
 俺はIN40を下りて一般道に入り、ホープ市を目指した。山を抜け、畑を抜け、住宅
街に入り、ナビで住所を入れたところに着いた。その地は線路のガードと向かい合わ
せになっていて、庭先を町道が走っていて、とても一等地とは言えない場所にあった。
おまけに隣の家は廃墟になっていて立ち往生した車が庭先に停まったままで、更に
は、やや離れた田舎の雑貨店には客が見えない。俺はクリントンの家はいつも観光
客で一杯の家を想像していた。しかし、観光客は無く、誰もいない、留守番もいない
静かな落ち着いたクリントンの家があった。ホープ市が設置した観光客用の駐車場
に車を入れ、庭の後ろをまわり、窓のカーテンの隙間から、キッチンの中を覗いた。
真っ白い大型冷蔵庫、電子レンジ、アメリカ中流家庭の料理器具が一式揃っている。
この家はクリントンが18歳の頃までいたようである。俺は自分の家の18歳の頃の
台所を思い出した。日本とアメリカの生活様式の違いを瞬間に感じた。庭を見たら
誰か子供の三輪車があった。芝が刈りこんであり、ホープ市が手入れをしているよう
である。前先に回り、階段を上り、玄関口に立ち、玄関周囲を観察する。銃を持ってい
るものは入れないのシールが貼ってあった。誰かいるかなと思いながらも、呼び鈴を
押してみた。反応が無い、窓から中が見えないので諦めて玄関先のベンチに座り、
クリントンの若い時の気分になってみた。玄関はワシントンとは反対の方向を向い
ている。一体何を考えて座っていたのか、自分の未来像を描いていたのか、母子家
庭の母親の苦労を感謝していたのか、分からないが一瞬、俺も母親の同情をして
しまった。
               アメリカ・中国大陸馬賊隊・・・照沼重輝



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